居間とリビングルームについての考察

今回内覧会を開催する「桜台の開かれた家」を住宅を設計するにあたって、あらためて考えたのは「リビングルーム」の在り方。従来の「居間」とは何がどのように違うのか?
せっかくの機会なので、コラムを書いてみました。

 

桜台の開かれた家内覧会のお知らせより引用ここから

 

ふつうの住宅地に建つ非凡な家。

今回ご紹介するお宅はズバリ「開かれた家」。
従来の設計思想とは異なる新しいBROOKの提案です。

従来と異なる設計とは?

この家は1Fと2Fのキャラクターを明確に分けてあります。
従来型の家は、玄関を一歩入ると家全体がプライベートな閉じられた空間というのが一般的ですが、今回こちらの住宅では1Fを「開かれた家」とし、2Fを「閉じられた家」という明確なコンセプトで設計させて頂きました。

1F

玄関を開けると、そこに広がるリビングは仕切りのない大空間にアイランド型のキッチン、端っこにトイレ。それだけしかありません。
そして1Fはパブリックスペースと捉え、開放感溢れる大きなサッシでガラス張りの空間としました。1Fはいつ見られても良い、あるいはいつ来客があっても良い、ある程度の緊張感を持って暮らすことを前提にした設計、つまり「開かれた家」です。



 

引用ここまで

 

引用元ページ

BROOK内覧会のお知らせ!!桜台の”開かれた家”、公開です!

上記を踏まえ居間とリビングルームについて以下、コラムになります。

「リビングルーム」と「居間」を考える。

そもそも「リビングルームとは?」の問いに対し、実は明確な定義は無いようです。
もともと日本にある「居間」と同じではなく、多分に感覚的ですが少なからず違いを感じませんか?
それはおそらく、戦後になってから新しく日本の住宅に取り入れられた概念だからではないでしょうか。
きちんとその意味するところを掘り下げること無く、当時の住宅業界が安易に「リビング」という「オシャレ」な響きの言葉だけを取り入れ、単語だけがひとり歩きしてしまったのでは?
BROOKでは、今回、この家を設計するにあたり、リビングの概念をBROOKなりに掘り下げてみました。結果、「リビングとは家族の共有スペースであり、パブリックスペースである」という答えを導き出し、従来型のいわゆるリビングの概念からは少し違ったニュアンスとして提案させていただきました。
ここからは私なりの考察も混じりますが、「リビング」と「居間」の違いについてお話します。

従来の居間という認識

従来からある「居間」と言うのは文字通り、普段「居る」空間です。
これは家族だけが過ごす極めてプライベートな場としての「お茶の間」と同義語でしょうか。

これと同時に日本の家ではかつて、「客間」というものが存在していました。
こちらの客間は普段は使わず、不意の来客があっても大丈夫なように、いつも綺麗にしておく暮らし方だったように思います。

ここに通されるお客様は「外部の人間」です。
お茶の間に通されるお客様は、気のおけない家族と同様のお付き合いが出来る人。元々はこの使い分けがしっかりとあったように感じます。

リビングという空間

では、「リビング」とはいかなるものか?これは、端的に言って「居間」と「客間」を一体化させたものではないか?という結論に達したわけです。
つまり家族が過ごす空間として普段は気楽に使いつつ、不意の来客にも対応できる状態を維持しておくことが必要な空間ではないか?ということです。
もともと欧米の考え方である「リビング」という概念は、欧米の個人主義に負うところが大きいと考えます。

すなわち家族であっても、ある程度の規律を守り、一緒に暮らす家人に不快感を与えないように暮らす、かなり洗練された個人主義の暗黙のルールの上に成り立つ概念です。
つまり、ある程度のルールに則った上で寛ぐということ。これすなわち、「見られても良い暮らし」ということにはならないでしょうか。
これは従来型の日本の生活習慣とは異なると言えるのではないでしょうか。

このように、一見すると同じように捉えられがちな「リビング」と「居間」ですが、よくよく考えてみると、また違った切り口が見えてくるから不思議ですね。

昔のように均一の生活様式ではなく、多様な価値観を内包する現代の日本人は「暮らす」ということに対しても一筋縄ではいきません。昔とは違う多様な価値観がそこには存在します。その割に一般的な住宅は画一的な従来型の間取りや設計が多く見受けられるように感じます。
BROOKでは家を設計する際、ただ単にお客様の要望をそのまま鵜呑みにするのではなく、じっくりとお話をうかがい、真剣に向き合い、お客様の言下のニーズまで掘り下げてカタチにする。
こういったプロセスに惜しみなく時間をかけることが、何よりも重要と考えています。
一見、個性的にも見えるBROOKの間取りですが、道具としてお客様が長年、愛用できるように、しっかりとパーソナライズされた家造りを目指した結果といえるのです。

AUTHOR:BROOK Inc.

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